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ZABOU TOKYO

Clothing Shop
Jinnan, Shibuya
2018

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Zabou始末記

いきなりの電話は、洋服屋をやりたいという人からだった。
たまたま電話をとったのがぼくなので多少驚いた様子だったが、ぼくの良く知るエリアで物件を探しているところだという。
心当たりがある人もいると思うけれど、電話口でのこういったやりとりは跡を残さないので、電話の向こう側には多少の安心感もあるのだろう、通りすがりのサグリ気分、冷やかしだけのヤサグレ気分な態度が多い。この類のお電話を頂くことは珍しくないけれども、最近は真面目な方々はメールでお問い合わせいただくケースの方が多いか。
先日などはインスタを見たと言って「一体何という材料でどうやって作っていて仕上げは何か」と尋ねてきた恥知らずがいたが、ぼくはそのM◯therF◯ckerに真正直に答えた。プロなら尋ねなくても見て触ればわかる内容だ。誰も損はしない。ただ、おそらくこういったカッパライ行為のような行状を重ねてきた小者なのだろうが、本物の域には到達し得ないだろうと、その浅き知恵を哀れに思ってのことだ。まあ小商いして頑張んな。
話を戻す。
その電話で、目星を付けたという物件の住所を聞くや否や、あらら そこは◯◯商店街の中じゃないの 良いお客さんは恐らく来ないからやめときな とぼくは言い放った。施工依頼を受けるも何もなく、その場所はやめとけ契約するなと。
東京の下町で修行したぼくは、当時眼にしていた、荒くれた鍛冶屋のオッサンといった風態を度々演じる。本来のぼくでは思いつかないようなルートを辿れることになるので、こういう人を自身の中に飼っておくのは都合が良いのだ。
ところが、これが良かったらしい。
大阪で生まれ育ち、南船場に店を構える店主は、曖昧で言いにくいことを濁して伝える文化とは違い、はっきりと直截的なところにハートをズキューン、水が合ったというかこれはいろいろとやりやすそうだ、と(よろしゅう頼んますわちゅうこっちゃで。)
そんなこんなで次に見つけた神南の物件を見に行き、ぼく自身も良い感触を得て、段取りもよく、スラスラ調子よく進んでお店になった。
実は着工する直前、2回目の打ち合わせの際に、ぼくは前回自分が主張したことと違う、新しい内容のものを披露した。すると店主は何のタメライもなく、その案を進めて欲しいと言う。
暖簾に腕押しといった感触ながらもそうさせて頂いたぼくは、後にあのとき左様ですかと応じてくださった理由は、と聞くことができた。
鋭い勘を持っていないと、先の見渡せない世界では溺れて死ぬことがある。
店主は合わせて、これと思った人を信じることが大切だと思っているという。
ぼくは繊細な方の信頼を得ていたことを知らなかった。
独立独歩の鍛冶屋のオッサンには通じないことの方が多いのだった。

そのシーズンの好みが反映されたものではなくて、シルエットや素材感がずっと変わらないものを作り続けているブランドがある。
自分の好みが確立されている人は、生活においても、装いにおいても、仕事の上でもプリンシプルを持っている。
そのふたつが交わる店、そんなところが神南には求められているはずだと思いながらディーテイルを考えた。

施主 株式会社ZABOU
事業形態 服飾雑貨店舗
所在地 東京都渋谷区神南1-5-2 川村ビル2F
工事種別 設計、解体工事、木造作工事、建具工事、什器工事、塗装工事、電気工事、鏡ガラス工事、空調設備工事、サイン工事、防災工事、ガス工事
床面積 41.4㎡
主要仕上材 壁1:木下地+ラワン有孔ボード
壁2:躯体+AEP塗装
天井:躯体表し
床:スラブ+クリア塗装
什器1:スティール+ラーチ材
什器2:SPF材
什器3:アンティーク
info zabou.org/
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